「上るときは平気なのに、下りるときだけ膝が痛い」。膝のご相談で、よくうかがう訴えです。階段の下りは、膝にとって条件が厳しい動作のひとつです。ただし、下りで痛むこと自体は珍しくない一方で、下りのときに出るサインの中には、先に医療機関で確認すべきものが混ざっています。まずそこから書きます。
先に医療機関を受診してほしいサイン
英国NHSは、膝の痛みについて次のような場合はすぐに医療相談につなぐよう案内しています。当院での施術より先に、整形外科などを受診してください。
整形外科が先になるとき
- 強い痛みがあり、膝を動かせない、体重をかけられない
- 大きく腫れている、見た目の形が変わっている
- 膝がロックされたように動かなくなる、崩れるように力が抜ける、痛みをともなう引っかかり音がする
- 高い熱がある、または熱っぽく寒気がして、膝のまわりが赤く熱をもっている(感染のサインとされています)
- 転倒やひねったあとに痛みが出た
- 安静にしていても強い痛みが続く
とくに階段を下りている途中で、膝の力が不意にカクンと抜けるという症状は注意が必要です。公益社団法人日本理学療法士協会の資料では、この症状は半月板という膝の軟骨が断裂したときによくある症状として挙げられています。自己判断せず、整形外科で確認してください。
また、同協会の資料は、膝が腫れたり熱をもっている場合は整形外科を受診するよう案内しています。NHSは、数週間たっても膝の痛みが改善しない場合もかかりつけ医に相談するよう勧めています。当院の施術は医療行為ではありません。
下りで膝の負担が増えるといわれる理由
階段の上りと下りでは、膝の役割が変わります。上りは体を持ち上げる動作ですが、下りは落ちていく体重を受け止めながら、膝を曲げていく動作です。膝はブレーキ役を担うことになり、太ももの前の筋肉と膝のお皿のまわりに力が集まりやすくなります。これが、下りだけがつらくなる方が多い一般的な説明です。
膝のお皿(膝蓋骨)まわりの痛みについて、英国のケンブリッジ大学病院(Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust)の患者向け資料は、膝を曲げる動作や長時間座ったあとに痛みが出ると説明しています。そして背景として、「筋肉や靱帯の硬さがお皿を横に引っぱる」「筋肉が弱くお皿を安定させられない」「扁平足や足の過剰な内側への倒れ込み」の三つを挙げています。下りは膝を曲げながら体重を支える動作ですから、これらの条件が重なったときに出やすい場面だといえます。
変形性膝関節症についても、階段は症状の目安として扱われています。日本整形外科学会は、初期は「立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれます」とし、中期になると「正座や階段の昇降が困難となり」ますと説明しています。階段がつらくなってきたという変化は、それ自体が状態を伝える情報です。
痛む場所とタイミングで分かれること
「膝が痛い」と一言で言われても、どこがいつ痛むかで手がかりが変わります。自己判断の材料にするのではなく、受診や相談のときに伝える材料として整理しておくと役に立ちます。
| 気づいていること | あわせて確認したいこと | まずどうするか |
|---|---|---|
| 下りの途中でカクンと力が抜ける | 膝の中で引っかかる感じ、動かなくなる瞬間があるか | 整形外科で確認 |
| 膝のお皿のまわりが痛い | 長く座ったあとの立ち上がり、しゃがむ動作でも痛むか | 腫れや熱がなければ相談可 |
| 膝の内側が痛い | 脚の形の変化、歩き始めや立ち上がりの痛み | 診断済みかどうかを確認 |
| 動き始めだけ痛く、しばらくすると軽くなる | 正座や階段の昇降がしづらくなってきていないか | 変化を記録して相談 |
| 膝が腫れている、熱っぽい | 発熱、赤み、けがの心当たり | 整形外科を受診 |
「変形がある」と「痛い」は同じではない
レントゲンで変形を指摘されて、「もう仕方がない」と受け取ってしまう方がいらっしゃいます。ここは分けて考える必要があります。
日本理学療法士協会の資料では、膝に変形があっても7〜8割の人は痛みを生じないという調査が紹介されています。同資料は「変形=痛みと捉えてしまいますが、痛みがあるのを諦める必要はありません」と述べ、変形があっても痛みがあってもなくても、工夫によって症状の進行が抑えられ生活がしやすくなると説明しています。
また同資料は、膝の痛みで動かさないことが、筋力低下や腱・靱帯の柔軟性低下を招き、かえって膝の負担が増えて関節が硬くなるという「悪い循環」を示しています。痛いから動かさない、動かさないから余計につらくなるという流れを断つことが、日常の工夫の目的です。もちろん、診断と治療方針は主治医の判断が前提です。
生活のなかで見直せること
以下は、公的な資料で紹介されている工夫です。痛みを我慢して行うものではありません。
階段と立ち上がりの工夫(日本理学療法士協会の資料より)
- 階段の昇りは痛くない足を先に、下りは痛い方の足を先に出す
- 杖を使うときは、痛みがある側と反対の手に持つ
- 歩き始める前に少し足踏みをしてから歩き出す
- しゃがんで膝が痛い場合は、まず片膝をつく
- 正座を無理やり行うと痛みが強くなることがある
- 手すりの設置やスロープで段差を減らす。低い椅子からの立ち上がりは避ける
- 歩数計で1日の活動量を記録し、痛みが強くなった日の前日の歩数を確認して、自分に合った歩数を把握する
ストレッチや運動を試すとき
- 向く人──膝の腫れや熱がなく、医療機関で「動かして構わない」と言われている方。
- 避けてほしい条件──膝が腫れている、熱をもっている、けがの直後、担当医から運動を止められている場合。
- 中止する条件──痛みや疲労感を感じた場合はすぐに中止してください。日本理学療法士協会の資料は、痛みや辛さを感じる強さのストレッチは逆効果であること、呼吸を止めずに無理のない回数で行うこと、動きが悪い方や痛みが強い方は理学療法士や医師に相談することを勧めています。強度の高い運動は理学療法士や医師に相談してから行うよう案内されています。
体重については、同資料が「体重の増加は膝への負担を大きくします」として、自転車や水中ウォーキングなど膝に負担をかけにくい運動を挙げています。急に強い運動を始めるのではなく、続けられるものを選ぶことが前提です。
ハレモアでのアプローチ
膝は、股関節と足首にはさまれた関節です。上下の関節の動きが少なくなると、そのぶんの動きを膝が肩代わりし、膝に負担が集まりやすくなります。ハレモアでは初回60分のなかで、どの動きで痛むか、医療機関での診断内容をうかがい、膝・股関節・足首・骨盤の動きを確認します。
そのうえで、膝を引っぱっている太もも・ふくらはぎ・膝まわりの深部のこわばりに骨膜整体でアプローチし、股関節・骨盤の状態を整え、立ち上がり方やご自宅でできるストレッチをお伝えします。膝の関節そのものを変えるのではなく、膝に負担を集めている周囲の状態を整え、日常の動作を楽にすることを目指しています。当院で対応が難しいと判断した場合は、その旨をお伝えし、医療機関の受診をおすすめしています。効果には個人差があります。
よくあるご質問
階段の下りだけ膝が痛みます。整形外科に行くべきですか?
膝が大きく腫れている、熱をもっている、ロックされたように動かなくなる、下りる途中でカクンと力が抜ける、体重をかけられないほど痛い、といった場合は先に整形外科を受診してください。英国NHSも、強い腫れや変形、ロッキング、体重をかけられない状態をすぐに医療相談につなぐ目安として挙げています。こうしたサインがなく、数週間たっても変わらない場合も、一度医療機関で状態を確認しておくと安心です。
レントゲンで変形があると言われました。痛みは仕方ないのでしょうか?
変形があることと痛みがあることは、必ずしも一致しません。公益社団法人日本理学療法士協会の資料では、膝に変形があっても7〜8割の人は痛みを生じないという調査が紹介され、痛みがあってもなくても工夫によって生活がしやすくなると説明されています。診断や治療方針は主治医の判断が前提ですが、膝のまわりの動きや日常の動作を見直す余地は残っています。
階段の下りが楽になる下り方はありますか?
公益社団法人日本理学療法士協会の資料では、階段の昇りは痛くない足を先に、下りは痛い方の足を先に出すことが紹介されています。また、高い段差の昇り降りは膝への負担が大きいため、手すりを取り付けたりスロープで段差を解消することも方法として挙げられています。痛みが強くなる場合は続けず、整形外科などで状態を確認してください。
参考資料
- Knee pain|NHS(強い腫れ・変形・ロッキング・体重をかけられない場合などの緊急の目安、感染を疑うサイン、数週間改善しないときの相談)
- 「変形性膝関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる(初期は動作の開始時のみ痛む、中期は正座や階段の昇降が困難になるという症状の進み方)
- 理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症(PDF)|公益社団法人 日本理学療法士協会(下りで膝の力が抜ける症状と半月板、変形があっても7〜8割は痛みを生じないこと、階段の足の出し方、杖の持ち方、手すり・スロープ、低い椅子からの立ち上がり、歩数の記録、運動時の中止条件、動かさないことによる悪い循環)
- Patello femoral syndrome (anterior knee pain or chondromalacia patella)|Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust(膝を曲げる動作や長時間の座位で痛みが出ること、硬さ・筋力・扁平足などの要因、痛む場合は理学療法士か医師に相談すること)
※参考資料は一般的な医学情報および公的機関の資料です。骨膜整体そのものの効果を示すものではありません。
膝に負担が集まる理由、ハレモアのアプローチ、岡山店・倉敷店の情報は「岡山・倉敷で膝の痛みに悩む方の整体」にまとめています。
頭痛腰痛肩こり専門整体院ハレモアが、日本整形外科学会やNHS(英国国民保健サービス)などの公的機関が公開している情報をもとに作成しています。記事の内容は一般的な情報であり、診断や治療にかわるものではありません。症状の判断は医療機関にご相談ください。当院の施術は医療行為ではなく、効果には個人差があります。
まずは60分の初回体験から
カウンセリング・検査・施術・セルフケアの指導まで含めて60分 3,300円(税込)。
いまの体の状態を、一緒に確認するところから始めます。